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専門職・個人向け

法律事務所がAIを活用するための
守秘義務・個人情報保護の実践

📅 2026年4月11日 ⏱ 読了時間 約7分

この記事で分かること


法律事務所でのAI活用が進む一方で

法律業界において、AIは契約書レビュー・判例調査・法律文書のドラフト作成・デューデリジェンスなどで急速に普及しています。大手法律事務所ではHarvey AIやLexisNexis AI、国内ではリーガルテック各社のサービスが導入されています。

しかし法律業界には、他業界にはない特有の制約があります。それが弁護士の守秘義務です。


守秘義務とAI利用の法的論点

弁護士法第23条の問題

弁護士法第23条は「弁護士又は弁護士であった者は、その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負う」と定めています。依頼人の同意なく第三者に秘密を開示することは、この義務に違反します。

AIサービスへの情報送信が「第三者への開示」に当たるかどうかは、法的には解釈が分かれています。しかし少なくとも、AIサービス事業者のサーバーに依頼人の個人情報が送信されることは事実であり、依頼人の合理的な期待(弁護士だけが情報を持つ)を超えた情報の移動といえます。

日弁連のAI利用指針(2024年)

日本弁護士連合会は2023年〜2024年にかけてAI利用に関する声明を発表し、以下の点に注意を促しています:

米国弁護士会(ABA)の動向

米国では複数の州の弁護士会がAI利用ガイドラインを公表しています。ABA Formal Opinion 512(2024年)では、機密クライアント情報をAIツールに入力する前に適切な保護措置を講じることが求められています。


法律事務所が直面する具体的なリスクシナリオ

シナリオ1:契約書のAIレビュー

M&A案件の契約書(当事者の実名・取引金額・秘密条項を含む)をAIに送信してレビューを依頼する。依頼人の実名と取引金額が外部サービスに送信されます。

シナリオ2:訴訟資料の要約

訴訟の準備書面(依頼人・相手方・証人の氏名・住所・詳細な事実関係を含む)をAIで要約する。第三者の個人情報も含まれるため、依頼人の同意だけでは不十分な場合があります。

シナリオ3:登記情報・財産情報の処理

相続・不動産案件で、固定資産評価証明・登記事項証明書・銀行の残高証明書をAIで整理する。依頼人の財産情報がAIに送信されます。


実践的な対応方法

方法1:依頼人への説明と同意取得

委任契約書または別途の同意書に、AIツール利用についての条項を追加します。「業務効率化のため、匿名化処理を施した上でAIツールを使用することがある」という同意を事前に取得します。

方法2:匿名化してからAIに入力する

依頼人名・相手方名・固有の数値(契約金額・口座番号)をすべて「依頼人A」「相手方B」「金額X」に置き換えてからAIに入力します。しかし手作業では漏れが生じやすく、大量の文書では非現実的です。

方法3:PII自動マスキングツールの活用(推奨)

PII Firewallは法律業務に関連する以下の情報を自動検出・マスクします:

弁護士の画面では元の情報が表示されたまま、AIには匿名テキストが送信されます。AIの回答が返ってきた後、自動的に元の情報に復元されます。


エンタープライズプランでの業種固有設定

PII Firewallのエンタープライズプランでは、法律業務に特化したPII検出ルールをカスタマイズできます。事件番号・訴訟物の価額・裁判所名などの法律固有の情報をマスク対象に追加することが可能です。また、複数の弁護士・スタッフが使用する場合の管理ダッシュボードと監査ログも提供します。


まとめ

法律事務所でのAI活用は生産性向上に大きな効果がありますが、守秘義務・個人情報保護法・弁護士倫理規程との整合性を確認した上で導入する必要があります。依頼人への説明と同意取得、そしてPII自動マスキングによる技術的措置を組み合わせることで、守秘義務を維持しながらAIのメリットを最大限に活用できます。


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